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2008/06/06

リリースの達人になりたいっ!(2)

前回(1)に続き、管理釣り場でのリリースについてもう少し考えてみたいと思います。
今回は、(1)よりも具体的に考えてみたいと思います。

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前回は、リリースしてはいけない魚がいるんです…ってお話しをしました。
それでは、具体的に「リリースしてはいけない魚」とは、どういう魚を指すのか…
を考えてみたいと思います。



1.魚の体表の粘膜がとれないよう注意してあげよう

 私たちが、管理釣り場で釣りの対象とする「鱒族」のお魚たちは、
 身体の表面に粘液が覆っていて、身体を守っています。

 この粘液が膜のような働きをして、皮膚病になったり、身体に傷が付くのを防いでいます。
 ですから、この粘液を取ってしまうような行為は、鱒族には大きなダメージになるんですね。


 この粘液をとってしまうのは、例えば、釣り上げた後に地面に置いてしまったり、
 落としてしまって地面で暴れてしまう…といった状況はもちろんなんですが、
 長時間、水から出しているだけでも、だら~~っと垂れてとれてしまうんですね。

 管釣りの池で、身体に白いカビのようなものが付いたお魚を見かけませんか?
 あれは、ほとんどの場合、ちゃんとリリースしてあげなかったことの結末なんです。
 そういう魚は、粘液がなくなった部分から細菌に感染し、皮膚病になりやがて死んでしまいます。


 釣ったお魚を、ポンドに戻すつもりなら、絶対に地面に置いてはいけませんし、
 「そんなつもろはなかったけど、勝手に暴れて落ちちゃったんだ…」という言い訳も
 魚が自分の意思で地面に上がってくるはずがないので、その原因を作った責任は釣り人にありますよね。

 故意でも、偶然でも、地面に置いてしまったお魚は、ポンドに戻してはいけないお魚です。
 持ち帰って、おいしく料理して食べてあげるのが何より…と思いますが、
 持ち帰らないなら、受付へ持っていって、処分して貰いましょう。
 せめて、死ぬ運命を背負わせた責任として、自分で命を絶ってあげなくては…と思います。


2.火傷をさせないように気をつけてあげよう

 鱒族は、常に冷たい水の中にいる生き物ですので、熱に弱いという特性も持っています。
 人間の感覚とは根本的に違うので、管釣りゲームをさせてくれるパートナーとしての
 鱒族のお魚のことを、もっと知ってあげたいと思います。


 管釣りで釣られたお魚にとって、最も差し迫った「熱さ」の脅威は、実は人間の手なんです。
 釣った魚を、写真撮影する場合などに、何気なく手で魚を持ちますが、
 この時に、36~37度前後の人間の体温では、お魚は火傷を負ってしまうんです。
 

 さらに、地面の温度も魚に火傷するのに十分な温度です。
 例えば夏場の地面は、36~37度の対応を持つ人間でさえ、暑くて素足をつけられませんよね?
 そんな熱い地面に体温数度のお魚を上げることは、ひどい火傷を負わせてしまいます。
 さらに、前述のように体表の粘液も取れてしまうので、回復不能の状態にしてしまうんです。
 (その点では、冬場で熱くないだろ?と思っても粘液の問題でやはり地面はNGなんですね)


3.必要なら人工呼吸をしてあげよう

 お魚がルアーに食いついて、フッキングした瞬間から、
 お魚と人間との、いわゆる「ファイト」が始まります^^

 これは管釣り~特にすそパのような大型魚を放流している釣り場~の醍醐味ですね。
 自然界のフィールドには、40~60cmサイズのお魚がひしめく様に集中していることなどありませんから、
 人工的に作られた施設である管釣りの大きな魅力の一つだと思います。

 一旦ファイトが始まると、お魚は、首を振ったり、ジャンプしたり、底へ沈んだり、根に逃げ込んだり…
 なんとかして、口にかかったフックを外そうとします。
 そのたびに、強烈な「引き」を釣り人に味あわせてくれるわけですが、
 お魚は、暴れれば暴れるほど、体力を消耗してゆくわけです。

 時間をかければ必ず取り込めるから、アセらずに…
 と、初心者のころ、教わりませんでしたか?
 
 それは、お魚が疲労して、酸欠となって動けなくなるので、そうなれば取り込みやすい… 
 という意味だったんですね。

 そうして、ネットに取り込まれたお魚は、まるでもう死んでしまうかのように、
 お腹を上にして、ぐったりして、エラだけが動いているような状態になってしまいます。
 そんな時に、お魚に人工呼吸をしてあげると、元気を取り戻します。


 具体的には、エラから酸素を取り込むようにしてあげることが、お魚の人工呼吸です。

 ◆方法その1

   お魚を正立させます(つまり背中を上にして立たせてあげる…という意味です)
   おそらく、人工呼吸が必要な状態では、自立できないと思うので、倒れないよう支えてあげます。
   もちろん、支えるのは、水に浸して十分に冷した手で…です。

   そして、尾びれの手前を持って、前後に動かしてやると、
   後方へ動く際に、エラに水が入って、酸素が供給されます。
   症状が軽い場合には、これを数回行うだけで、自分で泳ぎだしますので放してやります。

 ◆方法その2

   症状が重い場合は、前後に動かして、水中の酸素を入れてやるだけでは回復しません。

   片手で正立するよう支えながら、もう一方の手で、エラの脇の水面をバシャバシャさせて
   水中に強制的に酸素を含ませて、それをエラから吸収させることで
   回復を助けてあげることができます。

   私の経験で言えば、他に何かの原因がなければ、ほとんど(私は100%)の場合、
   この方法で、自立して泳ぎだします。
 
   ファイトでの疲れだけでなく、写真撮影などで、長い時間自ら出している場合も酸欠になりますので、
   そういう場合にも、この方法で自分で泳ぎだすまでケアしてあげたいと思います。
  

  
 人工呼吸でお魚を回復させる時間は、症状の重篤さによって変わってきます。
 ほんの数回、前後に動かすだけで自力で泳ぎだす場合は時間もかかりませんが、
 私、すそのFPで10分~15分ぐらい人工呼吸していたことがあります。

 もう尾ビレを動かしているので、大丈夫かと手を放すと、横を向いてしまう…
 そんな状態って、経験ありませんか?

 先ほどから、魚を正立させる…と何度も書いていますが、これってかなり重要なんです。
 お魚は、酸欠になってぐったりしてお腹を上にしてしまうと、
 もうどっちが上なのか、下なのか、分からなくなってしまうんですね。
 お腹を上にしているだけでも死んでしまうらしいです(呼吸とかと別に…)。

 なので、手を放すと横を向いてしまう間は、支えてあげて人工呼吸を繰り返す必要があります。
 
 よく、ちょこちょこっと人工呼吸のマネゴトをしただけで
 「コイツ、もうダメなんじゃない?」とか、
 まだ自立できないのに、放してしまうのを見かけることがあります。

 早く釣りたい気持ちはわかりますけれど、好ファイトで楽しませてくれたお魚なんですから、
 ちゃんと回復させてあげないと…って思うんです。


4.残念だけど、こんな時はリリース断念!

 それは、出血した場合です。
 口の奥(つまり喉)にフッキングしてしまって、すんなり外すことができなかった場合はもちろん、
 そんなにヤバそうな場所でもないのに、出血してしまった場合には、
 その場は元気に暴れていても、そのお魚は、ほとんどの場合生存できないとのことなんです。

 すそパの場長に伺ったんですが、出血した魚を水槽で生かしてみたことがあるそうです。
 でも、出血してしまった魚で、そのまま生存した魚はいなかったそうです。

 とても死んでしまうようには見えなくて、元気に暴れている魚を、
 事務所などに持ち込んで、自らの手で死なせるのは忍びない…と思うんです…確かに。
 でも、それをポンドにリリースしても結局は死んでしまって、白い腹を出して浮いてしまうなら
 釣ったことの結果としての出血なんですから、自ら処分すべきなのかなぁ… 
 などと思うんですよね。ちょっと難しいところかもしれませんけれど。




 過去に、いわゆる「上級者」「上手い人」と目されるような方のリリースを見た際に、
 「え?そんなリリースしちゃうの?」と驚いたことが、過去に何度かあります。
 「釣ること」だけが偏重され、「釣ること以外」が軽んぜられている気がしてならないんです。

 もちろん、私も最初の頃は、リリースということをよく考えていませんでしたし、
 軽く見ていたと思います。ただ魚をポンドに返せばいいんだ…と。
 釣りたい一心で、釣ること以外を軽視していたんでしょうね。
 少しずつですが、先輩諸氏に教わったり、雑誌や映像などで正しいリリースを見聞きし、
 さらに、鱒族という魚の特性を知るにつれ、リリースを重視するようになりました。

 私の目から見ると、「上手いアングラー」「カッコいいアングラー」は、
 「釣る」スキルと、「釣ること以外」のスキルが均衡して、非常にうまくバランスしている気がします。
 釣るのも上手くて、リリースも、マナーもサラっとこなせるアングラーがカッコいいと思いませんか?

 自分もまだまだですけれど、1歩でもそういうカッコいいアングラーさんに近づきたいと思います^^




(注)いつものことですが、全ての記事内容はあくまで私の主観ですので
その点ご理解の上お読み下さい。

Posted by KAZ 2008_06_06_

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拙い記事を最後までお読み頂き、ありがとうございましたm(_ _)m
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もちろんコメントも大歓迎です^^/


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コメント

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さすがです

こんにちは KAZさん
自分を追い込みますねぇ

でも感謝は大切ですよね 

KAZさん、こんにちは。

①、②続けて読ませて頂きました。^^

KAZさんと一緒に釣りをさせて頂いて、リリースにとても気を使っているのは良くわかりますよ。


こんばんわ>せんせい

別に追込んではいないですよ^^
あたりまえのことだと思うんですけど…。

こんばんわ>にゃ~すさん

まだまだ、スキルが足りないと感じる場面が多々あります^^;;

記事の内容に釣られ遊びに来てしまいました。
KAZさん素晴らしいです。

そのようなお考えで釣りをしている人
本当のアングラーだと思います。

自分も改めて考えさせられる記事でしたv-411

こんにちわ。

土曜日に遊びに行こうかと思いましたが挫けてしまいました^^;;

でも、リリースのことは多くのアングラーさんがそう思っていると思いますよ。
私が特別な考えをしているのだとは思いません。ごく当たり前のことです。
釣り人個々がお気に入りの釣り場でよりよい環境を…と思っていると思います^^